※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.116>
理路整然 −智に働けば役に立つ− どうする,植物と動物のちがい
動物も植物も,細胞が集まってからだができています。また,呼吸をする点も同じです。植物は,葉緑体で行われる光合成によって,自らデンプンなどの養分をつくることができます。一方,動物は養分をつくり出すことはできず,ほかの生物がつくった養分を,食物としてからだの外から取り入れます(下図)。
現在ではこのように学習しますが,これもだんだんと明らかになってきた事実です。昔は植物は土を食べて生きていると考えられていました。しかし,次のような研究の歴史を経て,正確にしくみが理解されるようになりました。
1648年
ヘルモント(ベルギー,1579〜1644年)
鉢に入れた土にヤナギの若木を植え,水だけで育てました。5年後,植木鉢の中の土の重さはほとんど減らなかったのに,ヤナギの木は70kgも重くなりました。この結果から,ヘルモントは,植物は水を養分にしていると考えました。
1772年
プリーストリ(イギリス,1733〜1804年)
容器の中でろうそくを燃やしてからネズミを入れ,密閉すると,ネズミは死んでしまいます(二酸化炭素が多いため)。しかし,ネズミと一緒に鉢植えの植物を入れると,ネズミが死なないことを発見しました。この結果から,植物は,ネズミが死ぬ原因の「何か(二酸化炭素)」を空気から取り除くはたらきがあると考えられました。
1779年
インヘンホウス(オランダ,1730〜1799年)
容器の中でろうそくを燃やした後,ネズミと鉢植えの植物を入れて密閉し,容器を暗い場所に置いておくと,ネズミが死んでしまうことを発見しました。植物のはたらきには,光が必要であることがわかりました。
1804年
ソシュール(スイス,1767〜1845年)
植物を入れて密封した容器に光を当てると,容器の中の二酸化炭素の量が減り,植物の重さが増えました。ここから,植物が空気中の二酸化炭素を取りこんでからだをつくることがわかりました。
1864年
ザクス(ドイツ,1832〜1897年)
p.83図10の実験を行い,葉に日光が当たると,デンプンができることがわかりました。
これら以外にも,最終的には科学的に正しくなかったさまざまな考察がありました。150年以上にわたる多くの研究から,植物と動物の生きるしくみのちがいが明らかにされていったのです。
植物
動物