※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.122>
1|音の伝わり方
1 音と振動
音を出している物体を【音源】または【発音体】といい,そのふるえを【振動】という。音は物体の振動❶によって出る。
下の「探究4」を行うと,音源の振動により空気が振動し,空気が音を伝えていることがわかる。いいかえると,空気などの物質がまったくない真空中では,音は伝わらないと考えることができる。
探究4 音の伝わりを確かめる
準備
A 音さ,大きな板
B 簡易真空容器,実験用ブザー,ビニルテープ
C 太鼓,ロウソク
① 音さ(同じ高さの音が出るもの)を2つならべて音さAを鳴らす。
② 2つの音さの間に板を入れて音さAを鳴らし,①と聞こえ方が変わるか調べる。
容器の中の空気をぬいていき,音の聞こえ方が変化するか調べる。
太鼓をたたき,ろうそくの炎の変化を観察する。
❶ 音を出している物体はふるえている。また,音は物体を伝わる。(小学校3年)
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2 波
物体が振動しているとき,その振動でまわりの空気が押し縮められたり,引き伸ばされたりする(図1)。この空気の振動が,次つぎに空気中を伝わっていく。このように,振動が伝わっていく現象を【波】という。音が聞こえるのは,空気中を伝わってきた音の波が耳の中の鼓膜を振動させるからである。
音さをたたくと,U字の部分は内側や外側に細かくふるえます。
音さの振動が空気に伝わり,さらに空気から耳の中の鼓膜に伝わることで音が聞こえます。
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3 音の速さ
音には伝わる速さがある。たとえば,遠くの花火は,光が見えてから,そのあとに音が聞こえてくる(図5)。これは,光の速さに対して,音はずっと遅く,空気中では1秒間に約340mしか進まないからである。
音の伝わる速さを調べる方法について話し合い,3人程度のグループに分かれて調べてみよう。
〔方法の例〕
① 100m以上離れた2つの地点(A点,B点)を決め,AB間の距離をはかる。
② 2人が同時にストップウォッチをスタートさせ,それぞれA点とB点に移動する。
③ A点で競技用号砲をうち,その音を聞いた瞬間に,2人ともストップウォッチを止める。
④ 2人のストップウォッチの時間の差から,音がAB間を伝わる時間を求め,下の式から音の速さを求める。
$$ 音の速さ〔m/s^{❶}〕=\frac{AB間の距離〔m〕}{音がAB間を伝わる時間〔s〕} $$
注意 号砲のそばでは耳せんをする。
音の伝わる速さは,物質により上の表のように異なっています。
光にも速さがあり,約300000000m/sです。
光と音の速さのちがいによって,花火や雷が見えてから,しばらくして音が聞こえるという現象が起こります。左の写真で,発生源が遠いときと近いときに,到達時刻にどのように差が出るか考えてみましょう。
❶ sは「秒」を表し,英語のsecondの頭文字である。m/sはメートル毎秒と読み,1秒当たりに何m進むかを示す単位である。
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資料 速さ×時間で遠くまでの距離を調べる
遠く離れた物体までの距離をはかるために,光や音の速さが利用されています。いくつかの例を見てみましょう。
●月までの距離を光ではかる
1969年に月面着陸を果たしたアメリカのアポロ11号の乗組員によって,月面にコーナーキューブ(→p.111)の反射板が設置されました。この反射板に向けて地球から光を照射して,反射してもどるまでの往復時間を測定し,光の速さから地球と月との正確な距離を求めています(距離=光の速さ×往復の時間÷2)。長年の観測により,月は年に3.8cmの割合で地球から遠ざかっていることがわかりました。
●火山の膨張を光で調べる
気象庁の火山観測所では,24時間体制で活火山の火山活動を観測しています。その観測のひとつは,山体の膨張をとらえることです。山頂付近にコーナーキューブを使った反射板を設置し,観測所からレーザー光を当て,光がもどるまでの時間をはかることで距離を求めます。マグマが上昇してくると山がわずかに膨張して距離が変わるので,山体の膨張をとらえることができます。
●海底の地形を調べる
水中では,光は遠くまで伝わりませんが,音は空気中よりもずっと遠くまで伝わるため,距離をはかるのには音が使われます。
海底地形図をつくるときの海洋調査では,図(d)のように音の発生装置(圧縮した空気を一瞬で出すエアガン)から海底に向けて音を出し,海底で反射してもどる音を受信機でとらえることで,水中での音速から水深をはかります。また,振動数がより多い音に変えると,海底の堆積物の内部まで音が伝わり,よりかたい地層や岩石で反射してもどるので,海底の地下構造を調べることも可能です。
ニュース
※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。
- 【振動で描く不思議な図形】 2023年3月1日金属板の上にぱらぱらと砂や塩などの細かい粒子状のものを撒き,板を一定の周波数で振動させる実験動画です。周波数が大きくなるほど現れる模様が複雑になって,美しいアートのような幾何学模様の世界を描き出していきます。 この模様は「クラドニの図形」と言われるもので,金属板の共振状態の様子が粒子によって描き出されたものです。 もと記事リンク