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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.167>

2|コイルと磁石ではたらく力

 コイルと磁石の相互作用

 モーターでは,磁石とコイルが近くに配置されていて(p.158図2),これによって,コイルが回転するようにつくられている。磁石とコイルの関係について,どのように科学的に探究できるだろうか。

 探究6   電流が受ける力
気づき

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モーターで起こる現象をわかりやすく再現してみましょう。図15のようなしくみをつくると,コイルが回ります。

図15 簡易モーター

電流が流れる導線が受ける力を電流自体が受ける力ととらえます。

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課題

電流は磁界の中でどのような力を受けるか。

仮説

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電流が流れる導線のまわりには磁界ができるよね。その磁界と磁石の磁界の両方によって力がはたらくと思う。

モーターに大きな電流を流すと,回り方が速くなるよね。コイルに流れる電流を変えると,はたらく力が変わるのかな?

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計画

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磁石の間にコイルを置いて,コイルに電流を流そう。

探究5と同じコイルを使えばよいね。

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コイルに流れる電流の大きさを変えてみよう。力のはたらきかたが変わるかな?

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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.168>

方法

準備 

コイル,割りばし(木の棒),U字形磁石,電源装置,抵抗器(電熱線),電流計,スイッチ,クリップつき導線,スタンド

1.コイルに電流を流す

図のように装置を組み立て,コイルに電流を流し,コイルの動きを調べる。

2.条件を変えてコイルの動きを調べる

電流の大きさや電流の向き,磁石のN極とS極を変えて,コイルの動きを調べる。

① 電圧の大きさを変える  

(電流を大きくする)

② 電流の向きを変える
③ 磁石の極を変える
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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.244>

基本操作 電源装置の使い方

① 電圧調整つまみを0に合わせておく。

② 電源スイッチが切れていることを確認し,プラグをコンセントに接続する。(直流・交流(→p.174)の切りかえスイッチがある場合は,スイッチが直流になっていることを確認する)

③ 端子の+,−をまちがえないように回路につなぐ。

④ 回路の配線を点検してからスイッチを入れ,電圧調整つまみを動かして必要な大きさの電圧にする。

⑤ 実験が終わったら,電圧調整つまみを0に合わせて,スイッチを切る。

⑥ プラグをコンセントからぬく。

機器と導線をつなぐ
(a)導線の端をつなぐとき
(b)バナナプラグでつなぐとき
(c)クリップでつなぐとき
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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.248>

基本操作 電流計の使い方

回路の電流や電圧をはかったとき,予想の値とずいぶんちがうなと思ったら,まずクリップのはさみかたを見直します。
クリップは端子にしっかりかんでいますか?

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① 電流計を回路につなぐ

回路のスイッチを切った状態で,回路の電流の大きさを測定したい部分に,電流計をはさみこむようにつなぐ(このようなつなぎ方を「直列につなぐ」という)。

このとき,電流計の+端子を電源(電池)の+極側に,−端子を電源の−極側につなぐ。


 ポイント 
 

目盛りを正面から見て読み取る。


 注意!! 
 電流計を電池だけに直接つないだり,豆電球の両端につないだりしない。大きな電流が流れてこわれてしまう。

(使用前に,調節ねじで指針を0に合わせておく)


 注意!! 
 指針が反対向きにふれたら,すぐスイッチを切って,正しくつなぎ直す。正しくつながないと電流計がこわれてしまう。

② −端子を選ぶ


 注意!! 
 指針がふり切れたら,すぐスイッチを切って,正しくつなぎ直す。

検流計は,電流計よりも微弱な電流を検知するのに適している。電流が+側から流れこむと指針が右にふれ,−側から流れこむと左にふれる。
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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.169>

結果


 ポイント 
 

  • 電流を流すと,コイルはどうなるか記録する。
  • 電流を大きくすると,コイルの動きはどうなるか記録する。
  • 電流や磁石の向きを変えたそれぞれの場合について下のような図をかき,電流の向き,磁石の極の向き,コイルが動いた向きを記録する。
考察


 ポイント 

  • 電流が磁界から受ける力の大きさや力の向きは,それぞれ何によって決まるか。
  • 電流,磁界,力の関係は,矢印でどのように表すことができるか。
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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.170>

 探究5   結果から考察する
結果

(a)コイルの動き

図16 探究6の結果例

(b)記録の例
  • 電流が流れると,コイル(導線)が動く。
  • 電流が大きいほど,コイルは勢いよく動く。
  • 電流の向きを逆にすると,コイルは逆に動く。
  • 磁界の向きを逆にすると,コイルは逆に動く。
考察
  • 導線に電流が流れると,磁石の磁界によって導線は力を受ける。
  • 導線に流れる電流が大きいほど,導線が受ける力は大きくなる。
  • 電流が逆向きになると,導線が受ける力の向きは逆になる。
  • 磁石の磁界の向きを逆にすると,導線が受ける力の向きは逆になる。
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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.171>

2 電流が磁界から受ける力

 磁界の中を流れる電流は,磁界から力を受ける。この力は,電流を大きくしたり磁力を強くしたりすると,大きくなる。また,力の向きは電流と磁界の両方に垂直で,電流の向きや磁界の向きによって図17のように決まる。

「整流子」と「ブラシ」は,コイルに流れる電流の向きを自動的に切りかえるための部品である。

図17 電流の向き・磁界の向き・力の向きの関係

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磁界の向きを逆にしたり,電流の向きを逆にしたりすると,力の向きも変わります。


 発展 

電流の流れる導線のまわりにできた磁界と,磁石からの磁界によって,図の導線の右側では,磁界が強め合う。これは,磁力線で表現すると,磁力線が密になっていることに例えられる。このような状態だと,磁力線が密な方から粗な方へ力がはたらく。


 発展 

 磁界の中で電流が受ける力の向きは,左手の指の向きを当てはめることができる(フレミングの左手の法則とよばれる)。

 モーターは,電流が磁界の中で力を受けることを利用しており,受ける力を回転する運動に変えている(図18)。

図18 モーターの原理

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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.260>

資料 モーターの発明

 電流と磁界の性質は自然現象のひとつです。それをうまく応用した発電は,利用しやすい電気エネルギーを得るための方法であり,私たちの生活を大きく変えました。

 ボルタによって電池が発明された1800年ごろには,多くの科学者たちが電流を使ったさまざまな実験に取り組みはじめ,電流と磁界に関する発見が相次ぎました。中でも最も重要な貢献をしたのは,ファラデー(イギリス)だといわれています。

 「電流の近くに置いた磁針が力を受けて動く」という他の科学者の発見を知ったファラデーは,1821年に,電流を流すと回転し続ける装置を発表しました(図)。これがモーターの原型です。彼は1831年には,鉄しんに巻いたコイルに永久磁石を出し入れすると電流が生じるという電磁誘導を発表しました。

 翌年には,これを応用した発電機が発明されます。19世紀後半になると,より実用的な発電機が次々と開発され,発電された電気を利用する機器が人々の生活を急激に変えていくことになりました。

ファラデー (1791〜1867年)

ファラデーが発見したモーターの原理

金属棒を流れる電流が,磁界から力を受けることによって,金属棒が回転する。

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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.260>

資料 モーターのしくみ

 p.171図18のコイルの場合,下図(a)のような状態から電流を流してもうまく回転しません。実際のモーターは,こういったことが起こらないようにつくられています。

 一般のモーターでは,電磁石がY字になっていて,先端が3つあります。この先端の磁極は,ブラシと整流子の位置関係によって,N極,S極,はたらかない,という3種類がうまく切りかわっていきます(下図(b))。このようなしくみにより,電磁石と永久磁石がどのような位置関係にあっても回転する力がはたらき,連続してなめらかに回転し続けるように設計されています。

(a)p.171図18のモーターの短所
(b)実際のモーター

この図は,磁力線を点線で模式的に表しています。

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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.261>

資料 手作りリニアモーターカー

アルミニウムはくに流れる電流が,丸型の磁石の磁界から力を受けることによって,アルミニウムはくの筒が転がります。

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パイプは,アルミニウムはくに接する面を金やすりでけずっておく。
アルミニウムはくをガラス棒にまき, ガラス棒をぬいて,アルミニウムはくの 筒をつくる。
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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.172>

 電磁誘導

 探究6では,磁界の中にあるコイルに電流を流すと,コイルが動くことがわかった。同じ装置を用いて,図19のように磁界の中にあるコイルを手で動かすと,検流計の針が動き,電流が流れることがわかる。

 コイルを動かすことによって取り出せる電流の向きと磁界の向きの関係について,科学的にどのように探究できるだろうか。

図19 コイルの中の磁界の変化と誘導電流

 探究6   コイルによる発電
方法

準備 

コイル,棒磁石,検流計(またはマイクロアンペア計),クリップつき導線

  • コイルと棒磁石がどのような関係のときに電流が流れたか。
  • コイルに棒磁石を出し入れする速さを変えると,電流はどう変わったか。
① 棒磁石をコイルに入れる
② コイルに入れたまま止める
③ 棒磁石を引き出す
④ 棒磁石を勢いよく出し入れする
⑤ 棒磁石の向きを変える

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結果を,「検流計のふれのようす」と「時間」の関係としてグラフで表してみましょう。どのようにしたらよいでしょうか。

こういうグラフですね。電流の向きが入れかわることをどう表そうかな?

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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.173>

 コイルや磁石を動かして,コイルの中の磁界を変化させると,磁界が変化しているときだけコイルに電流を流そうとする電圧が生じ,電流が流れる(図21)。この現象を【電磁誘導】といい,このとき流れる電流を【誘導電流】という。

 発電機は,電磁誘導という現象を利用して,誘導電流を取り出す機器である。

① 誘導電流は,コイルの巻数が多いほど大きく,磁界の変化が大きいほど大きい。

② 磁石を近づけているときと遠ざけているときとでは,誘導電流の向きは逆になる。

③ 磁石の向きを逆にしたときも,誘導電流の向きは逆になる。

磁石の動かし方によって,検流計の針のふれの大きさや向きが変わる。これは電流の大きさと向きが変わることを表している。

図20 探究7で電流の変化をグラフにした例

図21 コイルの中の磁界の変化と誘導電流


 発展 

コイルに磁界のN極を入れると,その磁力線に逆らうような磁界が,導線に生じる。これは,物質が,もともとあった状態(ここでは磁石による磁界がはたらく前の状態)を保とうとする性質に関係している。このとき,同時に電流が生じる。

導線に生じる電流の向きと磁界の向きの関係は,p.165図10のように,1本の導線に電流が流れ,そこに生じる磁界の向きの関係と同じである。

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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.261>

資料 こんなところにもコイル

●ICカード

 買い物や駅の改札などで,近づけるだけで料金を支払うIC カードが使われます。カードの回路は電流ではたらきますが,カード内部には電源がなく,電源はカードを接近させる機器の内部にあります。機器の内部のコイルに流れる磁界の変化によって,カード内のコイルに誘導電流が生じ,この電流によってカードがはたらくしくみです。

(a)IC カードを読み取るしくみ

●電磁調理器

 電磁調理器(IH調理器)の中には大きなコイルが入っており,磁界が1秒間に何万回も変化します。電磁調理器に金属製のなべをのせると,なべの底には,変化する磁界によって誘導電流が発生します。この電流によって,電熱線が発熱するときと同じように,なべが発熱するしくみです。

(b)電磁調理器の内部
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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.174>

 交流と直流

 私たちが家庭のコンセントなどから利用する電流は,電磁誘導を応用してつくられている。この電流は,電流の向きが短い時間間隔で交互に逆になることをくり返している。このように,周期的に向きが変わる電流を【交流】という。

 交流では,電流の向きが一度変わって,またもとにもどるまでを周期という(図23(b))。また,1秒間当たりの【周期】の回数を【周波数】といい,単位は【ヘルツ】(記号Hz)である❶。

 これに対し,乾電池の端子には+極と−極があり,乾電池をつないだ回路では,電流の向きが一定である。このように,向きが常に一定の電流を【直流】という。

(a) 電源装置を直流にしたとき,一方の発光ダイオードだけが点灯し続け,もう一方は消えたままである。
(b) 電源装置を交流にしたとき,両方が点灯しているように見えるが,ふり動かすと,写真のように点灯と消灯がくり返されている。

図22 発光ダイオードで見た直流と交流

オシロスコープを使うと,電圧の大きさや向きが変わるようすをグラフとして見ることができる。

(a)オシロスコープでみた直流の電圧は,変化せずに一定の値である。

(b)オシロスコープでみた交流の電圧の変化は,電流に置きかえて考えることができる。交流を流した発光ダイオードが交互に点灯したのは,オシロスコープで見た電流の「山」と「谷」では電流が逆向きになるからである。

図23 オシロスコープで表す直流と交流

オシロスコープでみた交流は,探究6の結果をグラフにした図20と似ているね。探究7では,交流をつくっていたんだ。

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❶ 日本では,発電所から送電される交流の周波数は,東日本が50Hzで,西日本が60Hzである。

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※このウェブページは中学校理科2年の学習内容です。<2年p.175>

 交流が発電所から家庭にとどくまで

 家庭で使われる交流の場合,電圧は 100V(または 200V)である。しかし,はじめに発電所から送電されるときは,電圧が数十万V❶もある。この電圧を,数段階に分けて変圧器で下げている(図24)。

p.158図1の発電機は,電磁誘導を利用して,発電するための機器なんだね。そうしてつくられた交流が,家庭まで届けられているということができるね。

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(a)発電機の原理 コイルの中で磁石が回転することで磁界が周期的に変化し,電磁誘導により交流が生じる。


 発展 

(b)電圧を変えるしくみ コイル1に交流が流れると,鉄しんを通る磁界が周期的に変化し,電磁誘導によってコイル2に誘導電流が生じる。このときコイル1と2の巻数が異なると,コイル2に生じる電圧はコイル1とは異なる。

図24 電気が発電所から家庭にとどくまで

家庭の電気器具の多くは,コンセントの交流を利用している。しかし,そうじ機やテレビなど電気器具の内部の回路では,直流ではたらいている部品も多くある。そのような場合は,電気器具の内部で,交流を直流に変えてから利用している。 ゲーム機や携帯電話,ノートパソコンなどの小型の電気器具では,内部に交流を直流にする装置が備えられない場合もある。そこで使われるのが「ACアダプター」であり,ACアダプターには,交流を直流に変えてから電気器具に電流を送るはたらきがある。

図25 交流を直流に変換する

❶ 交流は,比較的簡単に電圧を変えられるという特徴がある。発電所からの電圧が高いのは,同じ電力を送る場合,高い電圧で送ったほうが,送電途中の発熱によるエネルギー損失が少なくてすむからである。

ニュース

※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。

  • 2-3-2-2 2023年1月1日
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