※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.22>
3|作用・反作用
図18(a)のように,ローラースケートをはいた人AがBを押すと,押された人Bが動くだけでなく,押した人Aも逆向きに動き出す。このことから,押した人Aは,Bから押し返されたことがわかる。 また,(b)のように,人が壁を押すと,人のほうが後ろへ動き出す❶ことから,壁を押した人は,壁から押し返されたことがわかる。
物体Aから物体Bに力【作用】❷がはたらくとき,同時にA にはB から力(【反作用】)がはたらく。これを【作用・反作用の法則】という。作用と反作用は,必ず2つの異なる物体間で同時に生じ,一直線上にあり,向きが反対で,大きさが等しい(図19)。
実際にローラースケートを使って確かめるときは,立った姿勢では転倒する危険があるので,座った姿勢で行います。
図18 ローラースケートをはいた人にはたらく力
図19 作用・反作用
力は,ある物体から別の物体に一方的にはたらくのではなく,2つの物体の間で対になってはたらき合う性質があります。
❶ ローラースケートをはいた人が壁を押したとき,壁が動かないのは壁が固定されているからである。
❷ A からB にはたらいた力を作用というとき,A にB からはたらく力を反作用という。
❸ 下の図のような場合,反作用は,面に垂直な分力と,面に沿う分力に分けられ,前者は特に垂直抗力という。図19 では反作用と垂直抗力は等しい。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.244>
資料 気づきにくい作用・反作用
作用・反作用は,「2つの物体」の間ではたらき合い,向きが反対で同じ大きさの2つの力です。どのような場合も生じるので「法則」とよばれますが,気づきにくいこともあります。
① 物体にはたらく重力の反作用
重力の場合,「2つの物体」とは地球と物体です。地球が物体を引く重力を作用とすると,その反作用は物体が地球を引く力です。1kgの物体にはたらく重力は約10Nですから,その反作用である物体が地球を引く力の大きさも10Nです。地球はとても質量が大きいので,10Nの力がはたらいてもほとんど動きません。そのため,物体にはたらく重力の反作用があることに気づきにくいのです。
② 物体にはたらく浮力の反作用
水の入った水そうを台ばかりの上に置き,ばねばかりにつるした物体を水の中へ入れます。このとき,物体が10Nの浮力を受け,ばねばかりの示す値が10N小さくなったとしましょう。
このとき,台ばかりの示す値は,ちょうど物体が受けた浮力と同じ10Nだけ大きくなります。これは,物体が受けた上向きの10Nの浮力を作用とすると,物体から水へ下向きに10Nの反作用が生じ,その力が台ばかりへ伝わったためです。
ニュース
- 700メガパスカルの涙 2025年7月2日「オランダの涙」とよばれる,驚異的に頑丈なガラス細工を聞いたことがあるでしょうか? オランダの涙は,「ルパートの滴」ともよばれ,名前の通りに涙のような形をしたガラス製の物体であり,その存在は17世紀から知られていました。加熱してとかしたガラスを水中に落として急冷するだけという,きわめて簡単な方法で作成できるにもかかわらず,その強度は圧倒的で,銃で撃たれると銃弾のほうが砕け,プレス機にはさまれるとプレス機のほうがへこんでしまいます。 この強度をもたらしているのは,「圧縮応力」という力が,ガラスの表面でつねにはたらいているためです。オランダの涙は,前述の通り,加熱した液化ガラスが水中で急冷されることでつくられますが,このとき,水と接するガラスの表面が先に冷え固まります。内部はその後,少し時間をおいて徐々に冷え固まることで体積が小さくなろうとするのですが,すでに表面が固まってしまっているために小さくなりきれず,固まった表面を内部に向かって強く引っ張る力がはたらくことになります。この,“内部のガラスが表面のガラスを強く引っ張る力”に対し,“表面のガラスがもとの形を維持しようとする力”が,圧縮応力です。この力が強くはたらき続けるため,オランダの涙は,外部からの力に対して強固にもとの形を保つことができます。この圧縮応力は,最大で700MPa(大気圧の約7000倍)にも達するとの研究もあります。 オランダの涙には,もうひとつ興味深い性質があり,「涙」の形の尻尾部分を折ると,ガラス表面と内部にはたらく力のバランスが崩れ,瞬間的にこなごなに破壊されてしまいます。この破壊は最大で6840km/hもの速度で伝わり,まるで一瞬でちりとなるように見えます。 これらの独特な性質が関心を集めることも多く,動画サイトやSNSなどでは実験のようすが多数共有されているほか,日本でも学校で実際につくってみた事例が数多く見つかります。つくり方や強度を確かめる実験は誰でも簡単にできるものですので,ぜひ実際に体験してみてください。 もと記事リンク(外部サイトに繋がります。公開から時間がたつと繋がらない場合があります) 論文リンク
- 3-1-1-3 2023年1月1日この節に関わるニュースはまだありません。