※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.152>
1|火山
1 噴火
日本列島の地下などの一部では,岩石の一部が液体になっている。これを【マグマ】という。地下で発生したマグマはプレート(→p.180)の中を上昇し,多くの場合,地下数kmのところでたまっている。この場所を【マグマだまり】という。マグマだまりにあるマグマが地表に噴き出す現象が噴火である。
2 火山噴出物
噴火が起こると,溶岩や火山弾,火山れきや火山灰,火山ガスなどが噴き出す(図4)。噴火によって火口から噴き出したものをまとめて火山噴出物という。火山噴出物が地表に積み重なって高くなると火山になる。
※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.234>
資料 日本の活火山
活動している火山を「活火山」といいます。ただし,数千年のもの間活動していなくても,再び活動を再開する火山もあり,私たちが生きている時間とは異なるスケールで考える必要があります。活火山の定義は何度も見直されてきており,現在では,「過去およそ1万年以内に噴火した火山や,現在活発に水蒸気など火山ガスの放出活動をしている火山」とされています。
たとえば富士山は,江戸時代の宝永大噴火(1707年)の記録があり,「過去1万年以内」という活火山の定義に照らしてみれば,ごく最近まで噴火している火山です。今後も再び活動が活発になり,噴火が起こることが予想されています。そのため,周辺地域ではハザードマップ(自然災害の被害軽減や防災目的で,被災想定場所,避難場所・経路などを示した地図)などが準備されています。
※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.153>
3 マグマのねばりけと火山の特徴
マグマの成分は火山によって異なり,それによって,マグマのねばりけや色などが異なっている。マグマのねばりけによって火山の噴火のようすや火山の形にもちがいが生じる(図5)。
マグマのねばりけが大きいほど,しばしば爆発的に噴火する。また,溶岩そのものが火口で固まった場合,ドーム状の地形(溶岩ドーム)ができることがある。溶岩ドームは火口でできる小さな地形である。噴火が何回も起こり,火山噴出物が広い範囲に積み重なってできる,たて状火山・成層火山とはでき方が異なる。
マグマのねばりけが中程度の場合,噴火がくり返され,溶岩と火山れき・火山灰が交互に積み重なって,円すい状の火山(成層火山)になりやすい。
マグマのねばりけが小さいほど,ねばりけの小さい溶岩を噴出するおだやかな噴火がくり返される。その結果,溶岩などが広い範囲にうすく重なることで傾斜のゆるやかな火山(たて状火山)ができやすい。すそのが数十kmになることもある。
ねばりけが小さい物質ほど,うすく広がる性質があるね。だから,傾斜がゆるやかな火山ができるんだね。
ニュース
※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。
- 【地質学のメガネをかけて,松尾芭蕉の『奥の細道』を歩く】 2023年3月1日約300年前,西日本生まれの松尾芭蕉は,初めて訪れる東北の景観を句に詠み,『奥の細道』につづりました。 芭蕉が生まれた地(現在の三重県伊賀上野)は,地質学的にみれば日本列島が大陸の一部だった頃にすでに形成されていた古い花崗岩質の岩石や変成岩類からなります。そして『奥の細道』で芭蕉が旅したルートの大半は,およそ1,500万年前にはまだ海で,その後じょじょに陸になっていった「新しい」大地です。 このように「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の句は,多孔質な火山性の岩石に囲まれた空間の音のくぐもりを鋭敏にとらえたもの,プレートの沈み込みにより隆起した山地と河川による浸食の結果生まれた激流が「五月雨を集めて早し最上川」の句につながる…と,地質学のメガネを通して読み解く『奥の細道』。タイトルのリンクからぜひ全文を読んでいただきたい記事です。 もと記事リンク
- 【トンガ沖で海底火山が大噴火,何が起きた?】 2023年3月1日2021年1月15日,トンガ沖の海底火山フンガトンガ・フンガハアパイが大規模な噴火を起こしました。 トンガ周辺は大陸プレートの下に海洋プレートが潜り込み続けている地域で,多くの火山があります。この海底火山でも2021年末から小規模な噴火が起こっていましたが,1月15日の噴火は1000年に一度といわれるほど大規模なものでした。ソニックムーブ(衝撃波に伴う音)は2000キロ以上離れたニュージーランドでも観測され,海面に顔を出していた島(フンガトンガ・フンガハアパイの山頂部分)は爆発でほとんどが消失。また,14日から15日にかけて1時間に数万回~20万回もの火山雷が観測されました。これらの激しい現象がどのようにして起こったのか,今後再度の噴火は起こるのか,などについては,まだ分からないことが多く残っています。トンガにはおよそ10万人が住んでおり,その方々の状況も懸念されます。 もと記事リンク
- 【溶岩の熱でマシュマロを焼いたら,どうなる?】 2023年3月1日2018年,ハワイ島のもうひとつの火山「キラウェア火山」が噴火したときのことです。ある質問がSNSに投稿されました。 「火山の火口でマシュマロを焼くのは安全ですか? 十分に長い棒を使えばどうでしょう? 焼けたマシュマロが有毒になるとか?」 日本の火山は爆発的な噴火を起こすため絶対に不可能でしょうが,おだやかな噴火をするハワイ島ならば火口は無理でも溶岩には接近できるので,やってやれないことはない,かも……? ただし,この質問に対する米地質調査所(USGS)の回答は,明確に「NO!」。火山ガスに含まれる二酸化硫黄や硫化水素がマシュマロに付着すると「ひどい味」になり,マシュマロの砂糖と硫酸が反応すると「かなり衝撃的な化学反応を起こす」と,決して試さないように投稿者に警告しています。残念! もと記事リンク