※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.73>
2|生物の成長と細胞
1 生物が成長するとき
生物は細胞でできている。では,生物が大きくなるとき,細胞は変化するのだろうか。成長と細胞の関係について,どのように科学的に探究できるだろうか。
探究3 根の伸び方
p.70 図3 ④のような状態のタマネギを準備し,下写真のように点線より下の部分を,うすく切り落として,図8 のように水につけておくと発根します。また, 根に1mm おきの印をつけたところ,写真のように印の間が変化しました。
根が伸びるとき,細胞はどのように変化しているか。
根につけた印の間隔が,先端ほど広いのはなぜかな。
原因はなんだろう?細胞の数が増えるのかな?
細胞は勝手に増えないんじゃない?
1つひとつの細胞が大きくなるのかな?
タマネギの根の先端を顕微鏡で調べてみよう。
細胞の核は染色すると見やすくなるね。薬品はなんだったかな。
細胞のつくりを思い出してみよう。細胞の中の何が変わっているかに注目して観察しよう。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.74>
準備
ネギ(またはタマネギ)の種子,塩酸(3%❶ ),湯,染色液(酢酸カーミン液,酢酸オルセイン液など),試験管,ビーカー,温度計,顕微鏡観察用具,保護めがね
注意!! 保護めがねをかける。
1.根を処理する
① ネギ(またはタマネギ)の種子を発芽させる。
p.73図8のように,タマネギの根でも実験できますが,ここでは取りあつかいの簡単なネギの種子を使っています。
② 根を先端から5mmほど切り取り,塩酸に入れる。そのまま60℃くらいの湯で数分間あたためる。
ポイント
塩酸であたためるのは,それぞれの細胞を離れやすくし,観察しやすくするためである。
2.細胞を染色する
柄つき針で根を細かくほぐし,染色液を加えて数分間おく。
根の先端を切り取り,塩酸と酢酸カーミン液を混ぜた液に数日つけこんでおくと,すぐに方法3をはじめられます。
ポイント
根のどちら側が先端よりか,わかるようにしておく。
3.プレパラートをつくる
カバーガラスをかけてろ紙をのせ,静かに押しつぶす。
4.細胞を観察する
試料を顕微鏡(100倍)で観察し,切り取った根の先端よりの部分と根もとよりの部分を比べてスケッチする。次に400倍で核のようすを観察する。このとき細胞の大きさにも注目する。
❶ 質量パーセント濃度
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.75>
ポイント
- これまで知っている核のようすと異なる状態があるか。
- 細胞をスケッチする。
ポイント
細胞の大きさや,核のようすから,細胞がどのように変化すると考えられるか。スケッチした結果を変化が進む順番にならべかえて考える。
細胞の変化と根の成長を関連づけよう。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.76>
探究3 結果から考察する
タマネギの根の細胞を顕微鏡で観察すると,図9 のA のように根の先端よりの細胞は小さい。しかし,B ではやや細胞が大きく,Cは縦に長いことがわかる。また,根の先端よりの細胞(A)には,丸い核ではなく,ひものようなつくりが見られる。
- 細胞の大きさをもとにすると,根の先端よりでは,細胞が分かれて数が増えていると考えるのが適当である。細胞は時間がたつと縦に長くなることで根が伸びていくと考えられる。
- 核がなくなって,ひものようなつくりが現れ,それが時間とともに2つに分かれると考えると,根の先端よりで細胞が増えることがうまく説明できる。
このような順番でひものようなつくりが変化していくと考えられます。
細胞が分かれるようすは,根の先端よりでしか見られなかったね。
根に印をつけたとき,印の間隔は,根の先端ではなく,根もとよりで広がっていったね。この観察事実を結果からうまく説明できるかな。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.77>
根の先端よりでは,細胞が分かれて数が増えている。1つの細胞が2つに分かれることを【細胞分裂】という。また,細胞の核のかわりに見られるひものようなつくりを【染色体】という。根などのからだをつくる細胞が分裂することを【体細胞分裂】といい,体細胞分裂は図11のようにして進む。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.78>
植物には,さかんに体細胞分裂の起こる部分(根の先端付近や茎くきの先端付近など)がある。一般に,この部分で増えた細胞のそれぞれが長くなることにより,全体として根や茎が伸びていくように成長する(図13)。一方,動物の場合,からだ全体の細胞が分裂して,器官がもとの形を保つように調節されながら大きくなり成長していく(図14)。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.79>
2 体細胞分裂と生殖
植物の中には,種子ではなく,からだの一部から体細胞分裂によって新しい個体(子)をふやすことができる種類がある。たとえば,ジャガイモのいもは茎の一部であるが❶,それぞれのいもからは芽や根が伸び,新しい個体になる。そのほかにも図16のような例がある。このような受精によらない生殖を【無性生殖】❷という。無性生殖では,すべての子の形質は親と同じになる。
図16 植物の無性生殖の例
3 単細胞生物の生殖
単細胞生物は1つの細胞からできていて,体細胞分裂がそのまま無性生殖になる。分裂後の細胞は小さいが,一定の大きさまで成長して,やがてまた分裂することで個体がふえていく。
❶ チューリップなどの球根や,p.70 図3 ④のような状態のタマネギは,短い茎のまわりに分厚く変形した葉が集まった状態であり,ジャガイモのいも(p.70 図3 ②)は茎の一部であるが,同じように新しい個体になる。これらも無性生殖の一例である。
❷ 単細胞生物でも,多細胞生物(植物や動物など)でも,無性生殖は体細胞分裂によって起こる。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.251>
資料 クラゲは無性生殖でふえる
植物では,有性生殖と無性生殖の両方を行うものが少なくないが,動物の中にも両方を行うなかまがいる。
ミズクラゲはその一例である。クラゲは,図のように,透明なかさのような形のからだを水中にただようようすがよく知られる。このすがたには,雄と雌の成体があり,雄が水中に出した精子を雌が体内に取りこみ,受精卵ができる。
受精卵が細胞分裂をくり返して成長すると,岩などに付着して生活するポリプとよばれるすがたになり,さらに,ストロビラとよばれるすがたに変化する。これらの状態では,からだが複数に分かれてふえることができる。やがて水中にただよう雄と雌がいる成体のすがたになると,再び有性生殖を行う。