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熱くなって虫にアピールする花

昆虫に花粉を運んでもらうことで受粉する虫媒花とよばれる植物は,花粉を運んでもらうために昆虫を引き寄せる必要があります。昆虫を引き寄せるためにはアピールが必要ですが,より“熱く”なることで情熱的なアピールをしている植物が確認されました。裸子植物のソテツは,『生きた化石』ともよばれる,約2億年ほど前から姿を変えていない植物です。ソテツは,呼吸にともなって,自分自身の温度を周囲より最大15℃も上げる発熱を行います。このときの熱とともに出る赤外線が,ゾウムシのなかまを呼び寄せる合図になっていることがわかりました。
米ハーバード大による調査では,3Dプリンターで作った模型でも,熱を加えるだけでゾウムシが集まることが確認されました。一方,ゾウムシの側は,赤外線を感知できるヘビや蚊と同じ遺伝子をもっており,この遺伝子を活用していることもわかりました。
熱を活用して虫を引きつける進化的なしくみは,次のように説明されます。多くの虫媒花は,花の色や香りといった要素で虫を誘っていますが,しかし,これらの要素が機能するには,動物の側にも,それらに対応して色を見分ける能力や香りをかぎわける高度な認知能力が必要となります。ソテツは,動物の側でこれらの能力が発達する前から,熱という原始的な要因を使うことで効果的に虫を引きつけていたと考えられます。さらに,まず雄株が熱くなって虫を呼んだ後,その約3時間後に時間差で雌株が熱くなることで,虫を花粉を届ける順番通りに誘導する見事なしくみをもっていることもわかりました。
この発見は,自然界には人間には見えない通信方法が存在し,それが大昔から生命の進化の道筋を支えてきたことを教えてくれるものです。

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