2学年の教科書p.171で説明されているように,力と電流,それに磁場(磁界)は,密接な関係をもっています。力があるところは必ず磁場が発生するため,日常のあらゆる場面で,わたしたちは磁場の影響を受けています。普段はあまり気にならないかもしれませんが,ペースメーカーなどの医療用機器や,分析・検査用の精密機器となると,その影響は無視できないものとなります。そこで,英レスター大学の研究チームは,どんな形の物体でも,磁場から“見えなくする”技術を開発しました。
磁場の回避には,物体を2層構造をもつおおいで隠す方法がとられます。素材の内側には,磁場を完全に弾き返す「超伝導体」という物質が使われます。ただし,超伝導体だけでは,磁場の乱れを生じさせてしまうため,物体を“見えなくする”ためには不十分です。そこで,おおいの外側は弱く磁石につく物質(軟磁性体)とすることで,超伝導体で弾かれた磁場をうまく誘導し,おおいの裏側へと受け流すようにします。このようにすることで,まるで川の中に岩があるのに,水流が乱れずスムーズに流れるような状態をつくり出すのです。この素材を使用することで,これまでにも磁場を回避する技術はありましたが,円柱や球など,ごく単純な丸い形の物体にしか使えませんでした。今回の研究では,新たな計算手法を導入して非常に小さなスケールでおおいの軟磁性体部分を調節することで,四角形やより複雑な形の物体でも,磁場の流れを乱さずに隠せるようになった点に新規性があります。
超伝導体を使うために素材を非常に強く冷やす必要があり,まだ実用化には到達していないものの,この技術によって,医療や科学の発展に大きく役立つことが期待されています。
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