※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.194>
4|大地の活動による恵みや災害
1 大地の活動による恵み
地球のゆるやかで長期間の活動は,私たちにとって恵みとなることがある。
たとえば,地球内部からマグマとともに運ばれてくる熱は,温泉や地熱発電に利用される(図20)。プレートの運動などにより,地下深くでできた石油などの資源が地表近くまで移動して私たちが利用しやすくなることもある(図22)。また,地球の活動によってできる岩石や鉱物を,私たちは古くから利用している。
図21 リアス海岸
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2 災害
地球の活動による急激な変化に私たちが対応できなければ,それは災害とよばれる。日本では,地震や火山の噴火による被害が昔からあとを絶たない。
火山の噴火では,溶岩や火山灰によって建物や道路がうずもれたり,農作物に被害が生じたりすることがある(図23)。また,火山活動とともに発生する有毒な二酸化硫黄などで,人びとが遠くに避難しなければならないこともある。地震では,ゆれによる建物の破壊だけでなく,地すべりや液状化(図24),津波による被害が生じることもある❶。
火山噴出物により日常生活や経済活動に大きな影響がある。
図23 火山の被害
液状化とは,ゆれにより大地が急にやわらかくなることで,砂が吹き出し,陥没が起こる。
図24 地すべりや液状化
❶ こうした被害によって,「ライフライン」が寸断されることも大きな問題である。ライフラインとは,電気,ガスや水道,物資を輸送する道路,連絡のための電話回線やインターネット回線などをいう。
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資料 日本の活火山
活動している火山を「活火山」といいます。ただし,数千年のもの間活動していなくても,再び活動を再開する火山もあり,私たちが生きている時間とは異なるスケールで考える必要があります。活火山の定義は何度も見直されてきており,現在では,「過去およそ1万年以内に噴火した火山や,現在活発に水蒸気など火山ガスの放出活動をしている火山」とされています。
たとえば富士山は,江戸時代の宝永大噴火(1707年)の記録があり,「過去1万年以内」という活火山の定義に照らしてみれば,ごく最近まで噴火している火山です。今後も再び活動が活発になり,噴火が起こることが予想されています。そのため,周辺地域ではハザードマップ(自然災害の被害軽減や防災目的で,被災想定場所,避難場所・経路などを示した地図)などが準備されています。
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SDGsを意識して脱炭素社会へ 物質の循環
主に海底でつくられる堆積岩は,長い時間がたつとどうなるのでしょうか。
堆積岩の一部は,プレートの動きにともなって海溝から地下に運ばれます。地球内部は地表に比べて圧力と温度が非常に高くなっています。この圧力や熱の影響によって,地球内部に運ばれた堆積岩は別の種類の岩石に変わります。また,地下の岩石の一部は熱の影響などでマグマになることもあります。マグマが上昇して冷えると,火成岩(火山岩や深成岩)ができます。
これらの岩石が隆起などにより地表に現れると,再び風化・侵食されて土砂になります。そして,土砂は流水によって運搬され,再び海底に地層をつくり堆積岩となります。
このように,堆積岩をふくめたさまざまな岩石は,プレートの動きによって,長い時間をかけて姿を変えながら,地表と地球内部とを循環しています。このように,物質がめぐることを「物質循環」といいます。この循環とともに,生物のからだをつくる殻(炭酸カルシウム)や有機物も,地表と地球内部をめぐることにもなります。
有機物や生物の殻には,炭素がふくまれます。 つまり,炭素が地表と地球内部を循環して いるということです。 くわしくは3年生で学習します。
発展
❶ 圧力や熱の作用(変成作用)によって,もととは別の岩石に変化した岩石を「変成岩」という。
図26 変成岩の例
ニュース
※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。
- 【大切なのは「99回の素振り」 後発地震注意情報16日スタート】 2023年3月1日北海道と東北沖の日本海溝・千島海溝沿いでは,M7以上の地震が発生した場合,さらに大きな「後発地震」が起こる恐れがあるとされます。この「後発地震」のリスクがある場合に注意情報を発表する仕組みが,12月16日から開始されます。 注意情報が出た場合,避難は必要ありませんが,いつ津波が来ても逃げられるように準備をしたり,土砂崩れのリスクが高い場所に立ち入らないようにしたりするなど,地震に備えた行動を呼びかけることになります。 しかし,大きな地震の後にさらに大きな「後発地震」が起こる確率は,100回に1回ほど。空振りだった,と次第に防災意識が低下するのでは意味がありません。専門家は,「いつか発生する巨大地震に対する予行演習としての『素振り』ととらえてほしい」「普段と行動を変えることで生存確率を高める『セカンドベスト』の考え方を」と呼びかけています。 もと記事リンク
- 【85年前に提唱されていた「幻の波」,トンガの大規模噴火から発見される】 2023年3月1日火山の噴火や核爆発の際に観測される「ラム波」という波は,大気の共鳴振動として知られていますが,1937年,ペケリス(Chaim Leib Pekeris)博士によって,理論上,ラム波よりも少し遅い波が存在しうることが提唱されました。 しかしこの波はこれまで85年間,実在が確認されたことはない「幻の波」でした。 そして2022年1月,トンガのフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山の大規模噴火が発生しました。この時の観測データを詳しく調べたところ,「ラム波よりも少し遅い共鳴の波」が発生していたことが確かめられました。研究成果をまとめた論文において「ペケリス波」と呼ぶことを提案されているこの波は,海面との共鳴により「気象津波」をもたらす可能性が示唆され,研究が今後の防災・減災に活かされることが期待されています。 もと記事リンク 論文