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2|空気中の水
1 凝結
空気には水蒸気がふくまれていて,空気の温度が下がるとともに水蒸気が水滴になる。たとえば,冬の朝などに,部屋の窓ガラスに水滴がつくことがある。これは,外の冷たい空気によりガラスが冷やされ,そのガラスに接した室内の空気も冷やされて,空気中の水蒸気が水滴に変わったためである(図11)。
水蒸気が冷やされて水滴に変わることを【凝結】という。空気を冷やしていったとき,水蒸気の凝結が始まるときの温度を,その空気の【露点】という。
このようにしてできた小さな水滴など❶が集まって空気中にただよっている状態が,上空に浮かんでいる雲である(図13)。小さな水滴の集まりが地上に接している場合は霧とよばれる。
❶ 気温が低いときは氷の粒になっていることもある。
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夏に,コップに冷たい水を入れておくと,表面に水滴がつく。これも凝結という現象である。これを利用したとき,露点の決まりについて,どのように科学的に探究できるだろうか。
探究4 露点を求める
左のコップには冷たい水,右には室温の水を入れました。しばらくすると,左だけ水滴がつきます。
図14 水温によるコップの表面のちがい
コップの表面が冷えているから,空気中の水蒸気がコップの表面で水滴になったんですね。図11と同じしくみですね。
ぬるい水では水滴はつかないよね。何℃になれば水滴はつきはじめるのかな。
露点は気象要素の何に関係しているか。
空気を冷やすほど,たくさん水滴が出てくると思う。
冬に冷たい水を置いておいても,水滴はつかないよね。気温とどのような関係があるのだろう?
気温が高いときほど,露点も高いと思う。
冷たい水を入れたコップに水滴がつくことを利用して露点をはかれないかな。コップの表面が冷えるから水滴が出てくるんだよね。
温度をだんだん下げていかないと露点ははかれないね。容器に最初からすごく冷たい水を入れると,水滴はできるだろうけど,それより高い温度で水滴ができるかどうかが,わからないね。
毎日気温は変わるから,何日間か実験をしよう。室温,はじめの水温,水滴ができたときの水温を記録すればいいかな?
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準備
くみ置きの水,氷水,金属製のコップ,温度計,スタンド,ビーカー,ガラス棒,セロハンテープ
① 金属製のコップにくみ置きの水を3分の1くらい入れ,室温とはじめの水温をはかる。
② 金属製のコップに氷水を少し加えてかき混ぜる。この操作をくり返し,水温が下がってコップの表面にくもりができたら,そのときの水温を記録する。
ポイント
コップにセロハンテープを貼って,セロハンテープの境目に注意しておくと,くもりができてきたことがわかりやすい。
注意!! 実験中は,息がコップにかからないように注意する。息には空気中よりも多くの水蒸気がふくまれているので,息をかけるとすぐにコップがくもってしまう。
露点と室温にははっきりした関係はみられない。晴れの日は露点が低く,くもりの日や雨の日は露点が高くなるようだ。
23日と28日も気温はほとんど同じなのに,露点がちがうね。露点は何で決まるのだろう。
露点は気温で決まるのかと思っていたけど,ちがうみたいだね。27日と29日では同じような気温なのに露点がぜんぜんちがう。
露点は空気中の水蒸気と関係しているのかな。
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2 飽和水蒸気量
空気を冷やすと水滴が現れるのは,空気中にふくむことのできる水蒸気の量に限界があるためである。水蒸気量が最大限になっているとき,空気は水蒸気で【飽和】しているといい,そのときの水蒸気量を飽和水蒸気量という。【飽和水蒸気量】は,表1のように,空気1m³当たりの水蒸気の質量で表し(単位 g/m³)❶,温度が高いときほど大きく,温度が低いときほど小さい。
気温が高いほど,空気中にふくむことのできる水蒸気量が大きくなるんですね。
図15のグラフで,30℃と10℃の飽和水蒸気量を比較すると,3倍以上もちがいます。
30℃の空気には,10℃のときの3倍以上の水蒸気をふくむことができるということですね。
ふりかえり
飽和水蒸気量の考え方は,1年生で学んだ溶解度と似ています。
あれ?
溶解度曲線と飽和水蒸気量の曲線を比較して,同じように考えられるんじゃない?
そうすると,気温が下がって,空気中にふくみきれなくなった水蒸気が,水滴になって現れるのかな?
探究4の結果が説明できそう。
❶ 「/m³」は「1m³当たり」という意味である。
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3 凝結が起こるしくみ
凝結が起こるしくみを,図16をもとに考える。
30℃の空気(①)が冷えて,20℃の②の状態になるとき,実際の水蒸気量は変わらないが,飽和水蒸気量は小さくなる。20℃の空気(②)では,飽和水蒸気量が実際の水蒸気量と等しくなるため,空気は水蒸気で飽和した状態に達する。露点とは,このときの温度である。温度が露点より低い10℃の状態(③)まで下がると,空気中の水蒸気は,飽和水蒸気量を超えた余分な量だけ凝結し,液体の水に変化する。
そうか!探究4で雨の日の室温と露点が近かったのは,空気にふくまれる水蒸気の量が多かったからだね。
p.268の例題で,飽和水蒸気量の計算に慣れておきましょう。
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4 湿度
ある温度の空気にふくまれる実際の水蒸気量が,飽和水蒸気量の何%になるかを表した値を【湿度】という。湿度が高いほど,実際の水蒸気量は飽和水蒸気量に近い。反対に,湿度が低いほど,実際の水蒸気量と飽和水蒸気量の差が大きい(図18)。
$$ 湿度〔%〕= \frac{空気1m^{3}にふくまれる実際の水蒸気量〔 g/m^{3}〕}{その温度での飽和水蒸気量〔 g/m^{3}〕} $$
図18 湿度と飽和水蒸気量
湿度が低い日は,空気は水蒸気で飽和した状態からほど遠くなっています。このため,洗濯物の水分がさかんに水蒸気に変わって空気中に出ていき,洗濯物がよく乾燥します。
湿度は,私たちが「蒸し暑い」と感じるか,「空気が乾燥していてすごしやすい」と感じるかにも関わっています。
私たちの皮ふでは,汗腺から出る水分(汗→p.115図26)が水蒸気に変化するときに,表面の熱をうばっていきます。気温が高くても,湿度が低ければ汗はすぐに蒸発するのですごしやすく感じます。一方,気温が高く湿度も高いと,汗が蒸発していかずに不快に感じます。このような,気温と湿度の関係から,蒸し暑さの目安として用いられるのが「不快指数」です。
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資料 乾湿温度計と「打ち水」
液体の水が蒸発して水蒸気になるとき,まわりの熱をうばっていくため,まわりの温度は下がります。乾湿計はこのしくみを利用しています。また,夏に行う「打ち水」も同じしくみです。道路に水をまくと,水が蒸発するときに道路の熱をうばっていくので,道路の温度は下がります。近年では,屋外で霧をふき出して気温を下げる機器(細霧冷房)も用いられています。霧は空気中ですぐに水蒸気になります。このとき,空気の熱をうばって気温が下がるのです。