※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.48>
2|エネルギー
1 エネルギー
図13の杭打ち用のハンマーは,杭の上に落とすことで,その重さを利用して杭を打ちこむことができる。また,図14のようなカーリングでは,ストーンがほかのストーンを動かすことができる。このときのハンマーやストーンは,「ほかの物体に仕事をする」ということができる。このように,仕事をすることができる状態にある物体は,【エネルギーをもっている】という。
エネルギーはいくつかの種類に分けられる。たとえば,高いところにある物体がもつエネルギーを特に【位置エネルギー】という。運動している物体がもつエネルギーを特に【運動エネルギー】という。エネルギーの単位は,仕事と同じジュール(記号J)である。
仕事をされて動いている物体は,科学的には「仕事によって運動エネルギーを得た」ということができます。また,仕事をされて高い位置に置かれた物体は,「仕事によって位置エネルギーを得た」ということができます。
2学年では,物質は「化学エネルギー」をもっていて,化学変化にともない「熱エネルギー」や「光エネルギー」が出ると学習しました。また,植物が「光エネルギー」を使って光合成をすることや,電気機器が「電気エネルギー」ではたらくことを学習しましたね。これらは,「ほかの物体に仕事をすることができる」という共通点があるので,「エネルギー」という考えでまとめることができます。
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2 位置エネルギーの大きさ
位置エネルギーをもっている物体が重いほど,位置が高いほどエネルギーは大きいことが予想できる。これらの関係をより正確に知ろうとしたとき,どのように科学的に探究できるだろうか。
探究8 位置エネルギーを決める要素
高いところにある物体は,落下することによってほかの物体に仕事をすることができるので,位置エネルギーをもっていることがわかります。位置エネルギーが大きいほど,その物体は大きな仕事ができるということです。
位置エネルギーはどうすると大きくなるのだろう?
位置エネルギーの大きさは何に関係しているか。
高いところから物体を落とした方がエネルギーは大きいと思う。
重い物体を落とした方がエネルギーは大きいと思う。
物体を持ち上げるときと逆を考えればいいんじゃない?そうすると関係するのは重さと高さかな。
高いところから物体を真っ直ぐに落として,下に変形する何かを置いておこうかな。
高さを一定にして,物体の質量を変える。物体の質量を一定にして,物体の高さを変える。これでどうだろう。
つまり,「変える条件」と「そろえる条件」を入れかえて実験するということだね。
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準備
単2乾電池(3),厚紙の筒(アルミニウムはくなどのしん)(2),実験用スタンド(クランプつき),ものさし,ビニルテープ,太いストロー,えんぴつ,はさみ
この実験は,おもり(乾電池)がもつ位置エネルギーを,えんぴつが打ちこまれる深さではかろうとしています。
1.実験装置を組み立てる
① 机のあしや壁など(垂直で安定したところ)を利用して,厚紙の筒と,ものさしを貼りつける。
② 右の写真のように実験装置を組み立てる。
実 験 A
① おもり(乾電池)の質量を一定にして,筒1つ分の高さからおもりを落とし,えんぴつが打ちこまれた深さをはかる。
② おもりを落とす高さを変え(筒をつなげて高さを変え),えんぴつが打ちこまれた深さをはかる。
実 験 B
① おもりを落とす高さを一定にして,おもり1つ分を落とし,えんぴつが打ちこまれた深さをはかる。
② おもりを増やして(乾電池をつなげて),えんぴつが打ちこまれた深さをはかる。
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ポイント
① 実験Aの結果を表にまとめる。
② 実験Bの結果を表にまとめる。
何回も結果をとって,平均を求めてみましょう。
何回も試すと,おもりのちょっとした落とし方のちがいで,期待される値からまったくはずれる場合があることなどもわかってきます。これは誤差の一種です。結果の値には必ず幅があるということを理解するのも大切ですよ。
ポイント
- 結果①の表をグラフにして,おもりの高さとえんぴつが打ちこまれた深さの関係を求める。
- 結果②の表をグラフにして,おもりの質量とえんぴつが打ちこまれた深さの関係を求める。
- 位置エネルギーの大きさ(えんぴつが打ちこまれた深さ)に関わる要素は何か。
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探究8 結果から考察する
表1 探究8の結果例
おもりの高さ・質量が0のとき,打ちこまれた深さも0である。これも測定値と考える。
グラフから,位置エネルギーの大きさ(えんぴつが打ちこまれた深さ)は,高さに比例し,また質量にも比例することがわかる。
位置エネルギーの大きさは,物体の高さにも質量にも比例するね。このことから,位置エネルギーの大きさは,物体の高さと質量の積で表すことができると考えられないかな。
2年生の熱量のときも同じように考えたね。電熱線で発生する熱量は,電力にも比例し,時間にも比例した。このとき熱量は「電力と時間の積」で表すことができたね。
位置エネルギーが,物体の高さと質量の積で考えられるという点は,仕事の定義と似ているね。
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3 運動エネルギーの大きさ
位置エネルギーに影響する要素をもとに,運動エネルギーに影響する要素を知ろうとしたとき,どのように科学的に探究できるだろうか。
探究9 運動エネルギーを決める要素
転がってきたボウリングの球は,ピンを勢いよくはじき飛ばします。運動している物体は,衝突することでほかの物体を動かす仕事ができるので,エネルギーをもっていることがわかります。
運動エネルギーの大きさは,何に関係しているんだろう。位置エネルギーのように質量かな?
運動エネルギーの大きさは何に関係しているか。
球の速さや質量を変えておもりに衝突させたときのおもりの移動距離を調べる。
- 球の速さが大きくなると,運動している球がもつエネルギーはどうなるか。
- 球の質量が大きくなると,運動している球がもつエネルギーはどうなるか。
この探究では「考察」を主に行います。結果の表からグラフをつくり,考察してレポートをつくりましょう。
球の質量を変えたときの結果例は右列のボタンから確認できます。表計算ソフトを使ってみましょう。
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探究9 結果から考察する
- 球の質量が,6.2g,18.8g,36.3gのどの場合でも,速さが大きいほどグラフの傾きは急になっている(図20)。このことから,運動エネルギーは,物体が速いほど大きくなるといえる。
- 球の速さが120cm/sのときの質量とおもりの移動距離の関係をみると,球の質量が,
6.2g:18.8g:36.3g(約1:3.0:5.9)
のとき,おもりの移動距離は
約70mm:220mm:430mm(約1:3.1:6.2)
になっている(図21)。このことから,運動エネルギーは,物体の質量に比例するといえる。
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位置エネルギーの大きさは,物体の質量が大きいほど大きく,物体が高い位置にあるほど大きい。ある物体の位置エネルギーの大きさは,基準とする面からの高さによって決まり,基準とする面が変われば,位置エネルギーも変わる(図22)。
運動エネルギーの大きさは,物体の質量が大きいほど大きく,物体が速いほど大きい(図23)。
図22 位置エネルギーの基準とする面
図23 運動エネルギーの大きさの例
発展 エネルギーを求める式
位置エネルギーの大きさの求め方
物体を基準面からある高さまで持ち上げたときに,持ち上げる力のした仕事が物体の位置エネルギーになる。
$$ 位置エネルギー〔J〕=物体の重さ〔N〕×基準面からの高さ〔m〕 $$
運動エネルギーの大きさの求め方
運動エネルギーは物体の質量に比例し,物体の速さの2乗に比例する。つまり,物体が速いほど,運動エネルギーは大きく増えていく。
$$ 運動エネルギー〔J〕=\frac{1}{2}× 質量〔kg〕 × (速さ〔m/s〕)^{2} $$
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4 力学的エネルギーの保存
探究8で,位置エネルギーをもつ物体をはなすと,勢いよく下に運動することから,位置エネルギーは運動エネルギーに移り変わると考えられる。この移り変わりを調べるため,下の探究10を行う。すると,点Aにあったおもりは,同じ高さの点Cにいくことから,点Aの物体が最初にもつ位置エネルギーが,運動エネルギーになったあとも保たれたことがわかる。
ある物体のもつ位置エネルギーと運動エネルギーの和を【力学的エネルギー】という。運動する物体に摩擦力などがはたらかない場合❶,物体のもつ力学的エネルギーは一定に保たれる。これを【力学的エネルギーの保存】という。
下の実験では,点Aで位置エネルギーをもっていたおもりをはなすと,運動をはじめることから,位置エネルギーが運動エネルギーに移り変わったことがわかります。
探究10 エネルギーの移り変わり
準備
糸,おもり,ものさし,厚紙,実験用スタンド
① 実験用スタンドにふり子をつるし,おもりのふれる範囲の後ろに厚紙をたてる。
② おもりの最初の位置をもとにして,厚紙に水平な線をひく(線a)。おもりが一番低い位置をもとに,水平な線をひく(線b)。
③ 線bの水平線を基準としたとき,おもりの位置エネルギーと運動エネルギーがどのように移り変わっているか考察する。
❶ ふり子の支点にはたらく摩擦力や,糸やおもりにはたらく空気からの抵抗力は小さいので,ふり子が数回ふれるくらいのときは無視できる。
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5 いろいろなエネルギーとその移り変わり
エネルギーは次のような種類があり,たがいに移り変わることがわかる。
● 弾性エネルギー
引き伸ばされたり押し縮められたりしたばねなどは,もとの形にもどろうとするときの力(弾性力)で物体を動かす仕事をすることができる。変形したゴムひもやばねはエネルギーをもっており,これを弾性エネルギーという。
図24 弾性エネルギーをもつ物体の例
変形したゴムや弓は,もとの形にもどろうとして,物体を動かすことができる。
● 電気エネルギー
電気自動車のモーターに電流を流すと,車を動かす仕事をすることができる。電気(電流)はエネルギーをもっており,これを電気エネルギーという。電気エネルギーは,物体を動かす仕事をするだけではなく,電熱線によって熱,電灯によって光,スピーカーによって音に変換できる。
図25 電気エネルギーの利用例
● 熱エネルギー
図26のように,加熱された水は,はね車や車輪を回す仕事をすることができる。このことから加熱された水はエネルギーをもっていることがわかる。熱をもった物体がもつエネルギーを熱エネルギーという。
図26 熱エネルギーをもつ物体の例
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● 光エネルギー
光電池に光を当てると,電流が発生してモーターを回し,物体を動かす仕事をすることができる。光はエネルギーをもっており,これを光エネルギーという。物体に光が当たると,光エネルギーによって物体の温度が上がる。
図27 光エネルギーの利用例
● 音のエネルギー
空気中を伝わる音は,空気が押し縮められたり,引き伸ばされたりして生じる空気の振動が伝わっていく現象である。太鼓やスピーカーの大きな音が空気の振動として伝わり,近くにある物体をふるわせることから,音もエネルギーをもっていることがわかる。
図28 音のエネルギーの例
● 化学エネルギー
ガソリン自動車は,エンジンの中で起こすガソリンの爆発的な燃焼によってピストンを動かし,ガソリンの化学エネルギーを運動エネルギーに変えて走る。化学変化によってエネルギーを取り出せる状態にある物質は,物質内部にエネルギーをたくわえていると考えることができ,これを化学エネルギーという。
図29 化学エネルギーの利用例
● 核エネルギー
原子の中心にある原子核❶がもつエネルギーを核エネルギーという。原子核から核エネルギーが放出されると,膨大な熱や放射線が出る。
❶ 原子核については,p.118で学習する。
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6 エネルギーの保存
下の探究11のように,2つの手回し発電機をつないで,一方の発電機を 10 回手でまわしたとき,もう一方は何回まわるかを調べてみる。たとえば,もう一方が6 回しかまわらなかった場合,これは,運動エネルギーが途中で減少したことを表している。
この探究で,手回し発電機の中のモーターは,一方が運動エネルギーを電気エネルギーに変え,もう一方が電気エネルギーを運動エネルギーに変換している。しかし,変換の途中で,導線が発熱したり,モーターから摩擦熱や音が発生したりして,電気エネルギーの一部が熱や音のエネルギーとして周囲に放出されてしまうと,運動エネルギーとして利用できる量は減少してしまう。
探究11 エネルギーの減少
準備
手回し発電機(2)
2つの手回し発電機をつないで,一方を回す。
もし,両方のハンドルが,歯車のようにつながっていれば,回った回数は同じになるはずです。
手回し発電機は,内部のモーターによって,
① 手の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する
② 電気エネルギーを,発電機のハンドル回す・運動エネルギーに変換する
という両方のはたらきがあります。
① 二人組で,何回か実験を行い,結果を表にまとめる。
② 発生したエネルギーの種類と,もとのエネルギーとの関係を模式図に表す。
モーターから音が出ていたよ。
あとはどのようなエネルギーが発生しているかな。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.60>
いろいろな種類のエネルギーがたがいに移り変わっても,エネルギーの総量を考えると常に一定に保たれる。このことを【エネルギーの保存】という(図31)。
7 エネルギーの変換効率
私たちは,日常生活でエネルギーを変換して利用している。このとき,探究11の結果例のように,変換後に本来のエネルギーの全量は利用できないことがわかる。
エネルギーを変換する場合,目的外のエネルギーが発生する。このようなエネルギーの発生を小さくした状態,またはそれを利用できるようにした状態を,「エネルギーの変換効率が高い」という。図32や図33は,目的外のエネルギーを利用できるようにして変換効率を高くしている例である。日常では,このような例が多く見られる。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.248>
資料 エネルギー変換効率は求められる
① 水を入れて370g(約3.7N)にしたペットボトルを1mの高さに持ち上げる仕事を求める。
仕事=力の大きさ × 力の向きに動かした距離
② 右の実験装置を組み立て,手回し発電機でペットボトルを一定の速さでゆっくり1m持ち上げるのに必要な電力量を求める。
電力量=電圧 × 電流 × 持ち上げるのにかかった時間
③ 右の実験装置で,ペットボトルを1m の高さから落として発電したときの電力量を求める。
電力量=電圧 × 電流 × 落ちるのにかかった時間
④ 右の実験装置で,㋐手回し発電機の代わりに電源装置をつなぎ,電圧をかけてペットボトルを一定の速さでゆっくり1m持ち上げたときの電力量を求める。
電力量=電圧 × 電流 × 持ち上げるのにかかった時間
p.60図31を参考に,手順②,③,④で,どのようなエネルギーの変換が起こったか,またどこの段階で,どの種類のエネルギーが発生したか考えてみましょう。
考察として,下図のように考えました。手順②では,3.70Jの位置エネルギーをつくり出すのに,約3倍の電気エネルギーが必要です。
エネルギーの変換と保存の考え方
実験の考察の例です。
❶ この教科書では,もとのエネルギーが別なエネルギーに完全に変換された場合を100%として計算している。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.61>
8 熱の伝わり方
エネルギーの変換効率を高めるには,エネルギーの変換時に発生する熱をうまく利用する必要がある。熱の周囲への伝わり方には次の3つがある。
● 伝導
金属のスプーンを熱い飲み物に入れっぱなしにすると,スプーンの持つ部分も熱くなる。このとき,スプーンの金属の中を熱が移動している。物体(物質)の中を熱が伝わることを【伝導】(熱伝導)という。
図34 伝導の例
● 対流
水を熱すると,温度の上がった水は密度が小さくなって上の方に移動し,温度が低く密度が大きい水は,下の方に移動する。このように,温められた水や空気などが上昇したり,温度の低い水や空気などが下降したりして熱を運ぶことを【対流】(熱対流)という。
図35 対流の例
● 放射
たき火の炎から少し離れた,空気が冷たい場所でも,炎に向けて手をかざすと手に熱さを感じる。このとき,空気を伝わってではなく,空間をへだてて,直接炎から手に熱が伝わる。この熱の伝わり方を【放射】(熱放射)という。
熱を伝える放射の正体は,主に赤外線という目に見えない光である。高温になった物体は,可視光線(ヒトの目に見える光)や赤外線などを出すようになる。この赤外線が空間を伝わり,ほかの物体に当たると熱が移動して,その物体も熱くなる。
「放射」には,四方八方に広がるという意味もある。熱をもつ物体から,赤外線は四方八方に広がる。
図36 放射
赤外線サーモグラフィーは,物体から出る赤外線をもとに,物体の表面の温度を色で表すことができる。写真右のモニターでは,青っぽい色より赤っぽい色の方が温度が高い。
図37 赤外線サーモグラフィーで見た物体からの放射
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.249>
資料 冷たいものの近くでヒヤッとするわけ
冷えこんだ屋外が見える窓の近くに立ったとき,からだが冷えこむ感じがすることがあります。この感じは,必ずしも肌にふれる空気の温度が低くなくても起こります。これには放射(p.61)が関係しています。
放射によって温度が下がる「放射冷却」について説明しましょう。どのような物体も,温度に応じて放射が起こり,外部に熱を出しています。熱を出した物体は熱エネルギーを失って温度が下がります。右図⒜のように,物体から外部に出る熱の量と,内部に入る熱の量が等しいときは,物体のもつ熱エネルギーの増減はなく,温度は変わりません。ところが,⒞のように,入る熱よりも出る熱が多いときは,温度が下がっていくのです。「窓の近くに立ったとき」の例では,冷えこんだ屋外から入る熱は,人の体から出る熱よりも少ないので,窓に面したからだが,熱エネルギーを失って冷えるのです。
※このウェブページは中学校理科3年の学習内容です。<3年p.62>
SDGsを意識して脱炭素社会へ 熱の効率的な利用
熱エネルギーは,エネルギーを変換するときに発生しやすいエネルギーです。熱は周囲にすばやく伝わり,広がりやすい性質があるため,熱エネルギーを保持したり利用したりすることは簡単ではありません。それでも,私たちは熱を逃がさないくふうをしてきました。
身近なところでは,図38のように,伝導の起こりにくさや,物質の熱をはなつ性質などを利用しています。そのほか,冬でも外の熱で室内をあたたかくするヒートポンプ(図39),従来の火力発電よりも効率が高いコンバインドサイクル(図40)なども実用化されています。
私たちは,燃料を燃焼させたり,電気エネルギーを熱エネルギーに変換したりして,熱エネルギーを利用することもあります。しかし,このときは二酸化炭素も発生させている場合が多いのです。つまり,熱を上手に利用すれば,二酸化炭素の排出量を減らすことができ,温暖化対策にも効果が出る,ということになります。
図38 熱を効率よく利用する
ニュース
※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。
- 【ミニ四駆のタイヤに冷えピタを貼って走らせると……?】 2023年3月1日なぜその発想に至ってしまったのか。ミニ四駆のタイヤに冷えピタを貼ってみた実験動画が話題です。 実験をしたのは,工作系YouTuberのきすみ(@ksmhope/YouTube)さん。ミニ四駆がジャンプ台を飛ぶとバウンドし,再加速までにロスが出ることに着目し,「ジャンプ後も路面をしっかり掴むタイヤにすればロスが減ってタイムが向上するのでは」との仮説にもとづき,大胆にもミニ四駆のタイヤに冷えピタ(もちろん粘着面は外向き)を貼り付けました。 ご存じ冷えピタの粘着力 VS 着地の衝撃,果たして結果はいかに……!? 考えるまでもない,とオチが見えたあなた,ぜひ記事内の動画をご笑納あれ。 もと記事リンク
- 【削らず“16km”も書ける!? 芯も軸も金属の“鉛筆”が登場】 2023年3月1日鉛筆と言えば筆記具の定番ですが,都度削らなくてはいけない手間もあり,中学校入学とともに鉛筆からシャーペンに切り替えた人も少なくないのではないでしょうか。そんな中で,「削らずに16km書き続けられる」ニュータイプの鉛筆が登場しました。 商品名は「metacil(メタシル)」。「金属鉛筆」の一種ですが,芯にふくまれる黒鉛と特殊な合金のバランスなどを徹底追及。金属鉛筆のデメリットを克服し,書きやすく消しゴムで消しやすく,圧倒的に長持ちするという特徴を実現しました。「触れると金属なのに,鉛筆のように書ける」という不思議,ちょっと試してみたくなります。 もと記事リンク
- 【スマホのカメラで“空気の流れ”が見えるアプリ,エンジニアが開発】 2023年3月1日スマホカメラで空気の流れが見えるアプリが開発され,話題を呼んでいます。 アプリの名前は「air-visualizer」。温度の変化で空気の屈折率が変わることを利用し,密度の変化を可視化することで,空気の流れを映像としてとらえる仕組みです。デモ画像では,ドライヤーから出た空気の動きや,保冷剤で冷やされた空気が下降する様子など,肉眼では見えないものがくっきりと見てとれます。 現状は,「まだ実験的に作ってみた段階(開発者のkambaraさん談)」とのことで,GitHubでAndroidアプリのソースコード等が公開されているのみですが,「目に見えない世界を見えるようにしてくれる」面白さ,いつかアプリとしてリリースされることも期待したいです。 もと記事リンク アプリのソースコード(GitHub)