※このウェブページは中学校理科1年の学習内容です。<1年p.48>
1|物質の分類
1 「もの」の2つの見方〜物体と物質〜
身のまわりには,図1のように,さまざまなものがある。これらを,そのものをつくる「原料」という見方で分類してみよう。このときに,これまで学んだように,観点と基準について意識することに気をつける。
小学校では金属について学びましたね。金属であるかどうかは,分類の観点の1つになります。それ以外にどのような観点でものを分類できるでしょうか?
光るものは全部金属だったかな?
金属と鉄はどういう関係だったかな?
ほかにも,分類のための観点をあげてみましょう
・燃え方
・水への溶け方
・重さ
なども考えられますね。
氷,水,水蒸気は,固体,液体,気体,という観点で分類できるけど,分類の観点を変えると同じ水という「もの」だね。
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身のまわりの「もの」を理科の見方・考え方でとらえていくとき,2つの見方ができる。たとえばコップという「もの」は,使う目的に合わせた形や大きさがある。形や大きさに注目したときの「もの」を【物体】という。これに対して,物体をつくる原料に注目したときの「もの」を【物質】という。
いろいろな食器があります。これらは何がちがうのでしょう。
ものをつくっている原料がちがっています。
では,その原料のちがいをどう表せばよいでしょうか。
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2 金属と非金属
鉄やアルミニウム,銅などは電気を通す。これは【金属】の性質であり,金属には図4のような共通の性質がある。ここで,磁石に引きつけられることは金属に共通した性質ではない。金属の中でも,鉄は磁石に引きつけられるが❶,アルミニウムや銅は磁石に引きつけられない。
金属には,ほかにも亜鉛,鉛,金,銀などがあり,じょうぶで加工しやすい性質があるため,いろいろな物体に利用されている。
金属以外の物質を【非金属】といい,物質は金属と非金属に分類することができる。
❶ ニッケルやコバルトも,磁石に引きつけられる金属である。
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3 有機物と無機物
物質は,「金属と非金属に分類できる」ことを学んだ。次は観点を変え,物質を加熱したときのようすのちがいに注目したとき,どのように科学的に分類できるだろうか。
探究1 物質を加熱して分類する
金属の鉄(スチールウール)と非金属の砂糖を加熱すると,どうなるでしょうか。
小学校で「ロウが燃えると二酸化炭素が発生する」ことを学びました。だから,どちらも燃えて二酸化炭素が発生すると思います。
では食塩は燃えるでしょうか?
え?どんな物質も,燃えて二酸化炭素が発生するんじゃないんですか?
物質は,加熱した結果をもとに,どのような基準で分類できるか。
「燃えるか・燃えないか」で分類できるかな?
もしかしたら二酸化炭素が発生しない物質もあるのかな?
スチールウール,砂糖,食塩のほかにも,いろいろな物質を調べてみないと,わからないな。
二酸化炭素はどうすれば確かめられたかな?
二酸化炭素をどうやって閉じこめておこうかな。
物質によって燃えるときのようすはちがうのかな。写真や動画で記録してもいいね。
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準備
砂糖,食塩,スチールウール,ロウ,デンプンなど,石灰水,加熱器具,燃焼さじ,集気びん,アルミニウムはく,薬さじ,薬包紙,保護めがね
1.物質を加熱する
① 調べる物質(試料)を少量とって加熱し,ようすを観察する。しばらく加熱して変化がなければ,加熱をやめる。
※近くに石灰水を少量入れた集気びんを準備しておく。
しばらく加熱して変化がないとしたら,その物質は「燃えない」と判断するのが適切です。
注意!! やけどをしないように注意する。火を消した直後は,ガスバーナーの口の付近は熱くなっている。
2.石灰水との反応をみる
② ①で火がついた物質を,燃焼さじごとすばやく石灰水が入った集気びんに入れる。火が消えてから物質を取り出す。
③ ふたをしてよくふり,石灰水の変化を観察する。
物質が燃えているときの集気びんのようすにも注目しましょう。びんの内側で何か変わったようすはありませんか?
3.試料を取りかえる
④ アルミニウムはくを取りかえて,次の試料を調べる。
❶ 主に塩化ナトリウムという物質でできている。
石灰水も新しく取りかえます。
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基本操作 実験に使う主な道具
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基本操作 ガスバーナーの使い方
注意!! 火を消した直後は,ガスバーナーの口の付近は熱くなっているので,さわらないよう注意する。
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ポイント
実験結果を表にまとめる。
ポイント
- 石灰水の変化から,どのようなことがわかるか。
- 実験に使った物質は,どのように分類することができるか。
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探究1 結果から考察する
- 砂糖(ほかにロウ,デンプンなど)を加熱したあとに出た気体は,石灰水を白くにごらせることから二酸化炭素であることがわかる。
- 砂糖を加熱したとき,びんの内側に水がついたように見えるが,これは本当に水なのか確かめる方法はあるだろうか。
- スチールウールのように燃えても二酸化炭素が出ない物質もある。
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砂糖などの物質を加熱すると,燃えて二酸化炭素が発生する。それは,これらの物質に炭素がふくまれているからである(図9)。炭素をふくむ物質を【有機物】❶という。有機物が燃えると,二酸化炭素以外に水も発生する。
一方,有機物以外の物質を【無機物】❷という。無機物の食塩は加熱しても炭になったり燃えたりしない。金属も無機物である。たとえば鉄は炎を出さずに燃え,燃えたあと二酸化炭素は発生しない。
有機物の「有機」には,「生物に関係する」という意味があります。むかしは,有機物は生物にしかつくれない物質だと考えられていました。たとえば,砂糖,デンプンなどは植物からつくられています。また,ロウは,むかしは主に動植物がもつ油分からつくられていました。しかし現在では,有機物の多くを,生物の力をかりなくても工業的に製造することができます。
うーん,有機物・無機物,金属・非金属の関係がわからなくなってきた…。
では,ここで関係を整理してみましょう。
「有機物・無機物」「金属・非金属」は,分類をするときの観点と基準が異なるということですね。
❶ 食品や生物のからだは,有機物などからできている。
❷ 炭素や二酸化炭素は,炭素をふくむが無機物である。
ニュース
※科学ニュースの更新は2025年4月を目処にはじまります。
- 【接着剤がはがれる過程,電子顕微鏡でリアルタイムに観察される】 2023年3月1日身近な工作から建築などの大きなものまで,身のまわりのさまざまなところに使われている「接着剤」。この接着剤がどのようにはがれていくのか,これまでははがれた跡の観察や成分の分析によって間接的に推測されてきました。 しかし今回,接着剤がはがれていく過程をナノメートル単位でリアルタイムに観察することに成功したと,産業技術総合研究所などが発表しました。 2つのアルミ片を接着剤でくっつけてから両端を引っ張り,はがれる様子を観察したところ,これまで考えられてきた「アルミから接着剤がはがれる」という仮説と「接着剤が裂けてはがれる」という仮説の,ちょうど中間のような複雑な現象が観察されました。 もと記事リンク
- 【「金属疲労」で亀裂が大きくなっていくメカニズムをついに解明!】 2023年3月1日金属は非常に丈夫な素材ですが,繰り返し力を受けると小さな亀裂ができ,やがて亀裂が大きくなって破断する「金属疲労(金属の疲労破断)」を起こします。 航空や建築などさまざまな分野において,金属疲労が原因の事故は絶えず,そのメカニズム解明が長い間切望されていました。 このたび国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)が,ついにその謎を解明しました。従来,金属の中にできた微小な亀裂は”引張り力”によって成長すると考えられてきましたが,実際には金属結晶の特定のすべり面に沿って亀裂が大きくなっていく様子の観測に成功。亀裂をすべらせる力である”せん断力”によって亀裂が成長することを明らかにしました。 もと記事リンク プレスリリース 論文
- 【子供たちに大人気! 科学系YouTuber】 2023年3月1日科学系YouTuberとして人気な市岡元気先生。米村でんじろう先生のラボに所属していた経歴もあり,さまざまなジャンルの分かりやすい科学動画を公開中です。 「光るかき氷の作り方」「世界一大きいシャボン玉!」など,自由研究でやってみたくなる動画や,大人気コミックスの内容を再現した「ブドウからエタノールを作り出す!Dr.Stone ドクターストーン【実験】」「炭治郎の『爆血日輪刀』をアルミホイルを溶かして造る!!【鬼滅の刃実験】」など,愉快な動画がそろっています。 もと記事リンク
- 【無限に湧いて出てきてない? 10年以上使えると話題の「修正液」 コスパが良すぎる理由】 2023年3月1日ペンなどの文字を消す道具としておなじみの「修正液」について,SNS上で囁かれている噂があります。それは「長年使い続けているが,液切れしない。実は自然に湧き出ているのではないか?」というもの。 中には10~20年間替えずに使っているという証言も飛び出しています。 この記事では,修正液のメーカー「ぺんてる」の担当者に,噂の真偽について直撃しています。「無限に湧いてくる説」「長く使い続ける秘訣」「コスパが良すぎるが売り上げは大丈夫か」など,くすりと笑える内容です。ペン立てや引き出しの中の修正液が,少しいとおしくなるかもしれません。 もと記事リンク
- 【消しゴムで鉛筆の文字が消えるしくみ】 2023年3月1日消しゴムでこすれば,鉛筆書きの文字が消える。当たり前のことですが,どのような仕組みなのか,改めて説明できるでしょうか? 鉛筆書きの文字は,黒鉛(鉛筆の芯の素材)の粒が紙の上に付着しています。消しゴムを文字に触れさせると,消しゴムに黒鉛の粒が付着します。消しゴムを動かすと,表面が削れてくっついた黒鉛ごと消しカスとなり,現れた消しゴムのきれいな面にはまた黒鉛が付着します。この繰り返しで文字が消えるのです。 なお,最近流通している消しゴムのほとんどはプラスチック(塩化ビニル)に可塑剤を混ぜたものです。「黒鉛に似た構造の可塑剤が,分子間力で黒鉛分子を引き付ける」というしくみを利用して,ゴム製の消しゴムより文字が消えやすくなっているそうです。 もと記事リンク